新登場の『あまおう』生産者を紹介します。

今年、初めて登場した『あまおう』。福岡県八女市の『樋口大輔(ひぐち だいすけ)』さんが育てています。樋口さんは現在34歳、お父さんも農業をしており、そこで7年働き農業を学び、一人の農家として独立して2年目です。今では少なくなりましたが、農家の長男として生まれたからには農業を継いでいくという想いを持っています。折角、農業をするならと、お客様と目に見える関係を作りたいと思い、高鍋さんが代表をしている生産者グループ「めぐみの里」として活動をされています。福岡のnaturalnaturalの前で行っている青空市で販売している事もありますので、気軽に声をかけていただけたらと思います。

イチゴは皆さんにとって身近な果物だと思いますが、栽培が大変な作物の一つです。それは、イチゴの農薬使用は多く、福岡県の一般的な栽培方法では63回(成分回数)農薬を使って育てます。樋口さんは苗の段階で5回、定植後の花が付くまでに約10回、花がついてからは虫や病気が発生しない限り使用しません。食べていただく人たちを想い、一般的な栽培の約1/4まで回数を減らしています。

 一般的な流通では、傷んでしまう事を嫌い、少し緑色が残るぐらいで収穫をしてしまいますが、樋口さんのあまおうは熟してから収穫します。そのため、酸味は少なく、爽やかな甘みです。そのまま食べるのが一番美味しいあまおうです。一度食べて下さい。

 

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一般的な野菜取引と産直クラブ

 諫早市の生産者、鳥山さんに市場へ無農薬で育てた野菜を持って行った時の話を聞きました。

産直クラブと取引の始まる前に少しだけ作った人参とじゃがいもを市場に持っていったそうなのですが、その時、市場の方から「無農薬って求められてないんだよねぇ。」と言われながらも、出してみる事に。競(せり)にかけられ、一週間後に結果が出ると言われ、後日行ってみると、人参が5kgで50円と10kgで50円、じゃがいもが10kgで300円、合計400円でした。そこから手数料を1割取られます。受け取る金額は360円になりました。この結果に不満があってもすでに取引済で流通されてしまっているので何も言えません。f:id:fujiicyanneru:20151211205804j:plain

 こういった事は鳥山さんだけではありません、同じ日に大分県の『のーむの大地』の久井田さんからも市場の話を聞きました。「去年、市場に持っていくと無農薬のカボスが1kgで50円だった。去年は周りの人達は不作と聞いていたので価格も高いと思っていたんだけどね。」とおっしゃられていました。久井田さんは産直クラブ以外に関西の宅配に出荷されているそうですが、その余りそうな分は市場に持っていかれるそうです。高いと200円ぐらいの値段が付くこともありますが、安いと50円。こんなに大きな違いが生まれてしまいます。安い価格が続くと生産者は続け

る事ができなくなります。

 

 市場での取引は見た目重視で、無農薬というのは付加価値になりません。金額も不安定で、他の人が不作で市場に少ないと高く、他の人が豊作で市場に多くあると安いという構造。これが一般的で多くの農家さんがこのような取引の中で生活されています。これでは農薬を減らしたり、使わずに、草刈りをしたり、手で虫を取ったり、他の何倍も手をかけて育てようと思えるでしょうか?私だったら出来るだけ農薬に頼って、出来る限り機械化して効率よく1人でかなりの量をこなすことのできる農業をしてしまうと思います。

産直クラブの価格は生産者が育てるのにかかった手間がベースになります。市場(スーパーなど)が安い時は、産直クラブが高く思えるかもしれませんが、市場は少ないと産直クラブより高くなる事もあります。産直クラブは決まった価格で取引するので、生産者は安心して来年に向けて作付けをしていく事が出来ます。生産者が安心して栽培しようと思える仕組があたり前になり、お互いにフェアな関係で生産者と共に歩いていける会社でありたいと思っています。

 

さつまいも掘りをしました!

 10/17(土)熊本県の植木インターの近くにある、『万菜村(まんなむら)』でさつまいも掘りのイベントを行いました。この日は、会員さん達の日頃の行いが良いおかげで、晴天に恵まれました。10時に万菜村の生産者と挨拶をして作業開始!今回は子供が7人、その内4歳の子が全ての家庭でいらっしゃいました。ちょっと運命を感じてしまいます。

畑に移動すると、すでに朝から生産者が地上の葉っぱの部分を切って、マルチをはがしてくれていました。子供達は畑に入ると朝から元気いっぱい。お父さん、お母さんがスコップで掘り返したさつまいもを一所懸命に抜いていました。おっきなさつまいもを抱える子供達はとても可愛かったです。畑にはさつまいもだけではありません。生き物もたくさんいました。チョウチョや青虫、カエル、ヘビなど色々な生き物を見つけました。「さすがだな!」と思ったのは生産者、ヘビを見つけると掴んで遠くに投げていました。ヘビを見つけると思わず、退治しなきゃと考えてしまいますが、生産者は違います。ヘビも他の野菜にとって害虫になる生き物を食べたりしてくれます。不用意に殺したりはしません。もちろん毒を持ったヘビではありませんでしたが、私自身まだまだだなと痛感しました。

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 こうやって畑で楽しんだ後は、お楽しみの昼食。万菜村の野菜と『走る豚』、『健康あか牛』などを焼いたBBQと万菜村の野菜をたっぷり使っただご汁。オクラと水前寺菜を使ったおひたしや無農薬で作った小麦粉を使った手作りケーキ。いろいろな手の込んだ手作りの料理でもてなして下さいました。とても美味しかったので黙々と食べてしまいました。お腹もいっぱいになったところで、万菜村の各生産者の自己紹介や参加してくださった会員さんの自己紹介。万菜村の代表である間さんより無農薬栽培を始めてからの苦労などいろいろなお話を聞かせていただきました。やっぱりこんな生産者と今後も関係を深めていけたらと再確認できた1日でした。

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毎日食べるお米だから、美味しさ、安全性にこだわります!

 産直クラブで取り扱っているお米は、全て燻蒸処理(くんじょうしょり)をしていません。燻蒸処理とは、お米を倉庫にいれ、薬剤を中で開封しガスを発生させます。この部屋を目貼りし密封してしまいます。この際には防毒マスクを着用するよう書かれています。とても強い殺虫剤を使用する為、卵の状態の虫も殺してしまうことができますし、虫が付くことを避ける事もできます。

 産直クラブではこの燻蒸処理をしていないため、夏にそのまま置いていると虫が発生することがあります。どんどん新米が出てくる時期ですが、本格的に寒くなるまでは、2ℓのペットボトルなどに入れて冷蔵庫で保存していただけると、虫も発生しづらいですし、酸化もゆっくりになります。お米の生産者の皆様より、出来るだけ美味しい状態で食べて欲しいという想いも届いておりますので、保存方法を実践していただけたらと思います。美味しいお米を美味しい状態に保って食べていただけると生産者と産直クラブにとって幸いです。

  • 2ℓペットボトルを利用すると、お米と空気の接する面が少なくて済みます。密閉もできるので冷蔵庫の中の臭いが移ったり、湿気でカビが生えたりということも防ぐことができますので、保存にオススメです。
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台風に負けない!

 台風15号の被害により、8月末より9月末まで野菜が欠品になり大変ご迷惑をおかけしました。福岡市は直撃したにも関わらず、被害は少なかったに思えましたが、台風の東側になった熊本県や八女、朝倉など被害が大きく、生産者も大変な思いをされました。広場でも紹介した「万菜村(熊本市)」は小屋や車庫が壊れ、道も倒木などで寸断され畑まで行く事もままならない状況でした。

熊本の生産者で田中さんは無農薬の栗が半分落ちてしまいました。「落ちても説明して販売できないか?」と聞いたところ、「まだ実が小さすぎて食べられないよ」との事。落ちた半分は諦めるしかありませんでした。「林農園(朝倉市)」では梨が3割も落ちてしまい、落ちたほとんどが遅い品種で硬くて食べられないとの事でした。林農園では食べられないけど養肺膏を作ってみると言われていました。他にも色々な生産者より被害の事を聞きました。

生産者には自然相手でどうすることも出来ないことが多くあります。台風、雨が多すぎる、降らない、気温が高すぎる、低すぎるなど色々なことに影響を受けます。近年ではこうした極端な天候が多く起こるように思います。仕方のないと言えばそれまでなのかもしれませんが、出荷できないと生産者は収入がありません。こうした連絡が多く入ると農産担当としては現実逃避をしたくなる時も・・・。

しかし、今回の台風で嬉しい事もありました。果菜(ピーマンやナスなど)が台風の影響で倒れてしまったと報告を受けていましたが、野菜の生命力は強く、だんだんと立ち上がっていくのです。風の影響でその時に生っていた実は傷だらけやちぎれてしまい傷んでしまい出荷ができませんでしたが、ピーマンなどの木はだんだんと立ち上がって実をつけていきました。野菜達も一所懸命に生きており今回は野菜に励まされました。まだまだ頼りない農産担当ですが、生産者や野菜に支えられ走っていきます。

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どうして野菜が届かない?

 ここ数年、毎年聞く言葉があります。「異常な天候で野菜ができない」。とんでもない冷夏が来たかと思えば、次の年はとんでもなく暑い。今年は雨が多く、太陽が出る時間が少ない。毎年毎年、全然違うことが起こり、30年以上農業をされているベテランの生産者さんでも、新規就農して間もない生産者も順調にはいっておりません。野菜は生育が遅くなったり、トマトやナスなどの果菜類は木が疲れてしまって早く枯れてしまったり。長雨が続いたせいで野菜が弱り病気に罹ってしまう。こうやって野菜の状態が悪いと生産者も弱ってきてしまいます。電話をすると、野菜が出せない理由を聞きたいだけなのに、何度も「ごめんね」「迷惑をかけます」と言われます。「今年は皆さん悪いですもんね」や「もう少しで天候も回復しますよ」なんて月並みな言葉しかかけることができず、何もできない自分に怒りさえ感じます。

 会員さん達に一つだけ伝えたい事が、生産者さんは決して欠品を起こしたくて起きているわけではなく、昨今の天候の激変の影響で野菜がいつも通りに育たなくなっているためです。欠品になると売上がありません。病気で出せなくなると本当にゼロ。成長が遅れていると、売り先に困って、道の駅などで売る事もありますが、道の駅などでは正しくその価値を判断されず労力にあった価格せっていができません。一般栽培の野菜との見た目勝負になったり、売れ残ってしまったり。市場に出すとガソリン代にもならなくて損することもあるし、出荷できなくて、生産者が得をする事は何一つありません。

 農薬を極力使わない、もしくは無農薬で野菜を育てているため、病気や虫によりお届けができない事があります。できれば、知っている生産者での代わりがあればお届けをしたいと思っておりますが、必要のない方は大変お手数おかけしますが、担当または事務所まで連絡をいただけたらと思います。九州産直クラブでは生産者が誰か分かる野菜を案内しておりますので、このような事が起こります。会員様には大変ご迷惑おかけしますが、ご理解をいただけると幸いです。

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九州北部豪雨より3年。

 6月13日、『めぐみの里』(福岡県八女市)の生産者でトマトやお茶を作られている中島さんの畑に伺いました。トマトの取材と石拾いのお手伝いをしてきました!「石拾い?」と思われた方もいらっしゃると思いますが、本当に石拾いをしてきました。なぜなら中島さんは九州北部豪雨で被害に遭われた1人だからです。

 3年前までハウスで薔薇を栽培されていた中島さん。九州北部豪雨で地滑りの被害に遭い、ハウスの中央ぐらいの位置に、1.5mの深さで2mの幅の溝がハウスを横断するように横向きに入りました。そして山側からは雨で流されて土砂が流入。その畑は約3年掛かってやっとトマトやなす、いんげんなどの野菜が育てる事ができました。それでもまだ半分の面積で野菜が育てられるようになっただけです。

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 中島さんの畑は復興支援で整地や土地の補強に補助を受けましたが、申請、工事、検査などいろいろな工程がある為、やっと去年の冬に整地が終わり、ビニールハウスを立てました。しかし、流れてきた土砂などを整地している為、畑ではなくグラウンドの様な土になっていました。地面を掘ると石が沢山でてきます。とても野菜を植えるどころではありませんでした。産直クラブでもお手伝いに行ったのですが、昼まで6人で作業をして、ビニールハウス1棟の半分も終わりませんでした。しかも、この1回で終わるのではなく4回繰り返し同じ場所をやらないと難しいとの事。中島さんが冬から人を雇いながら作業して、ビニールハウスが8棟ある中の4棟まで終わって、野菜を育てる事ができる状況になった所でした。

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 普段なにげなく生活をしているとついつい忘れがちになってしまいますが、豪雨被害から3年が経った今も、復興に向けて戦われている方がたくさんいらっしゃいます。中島さんも今年還暦を迎えられますが、国の補助が出るとはいえ借金をしてビニールハウスを建て、これから出来るだけ無農薬で育てられるようにと、僕たちのために野菜を育ててくれています。その姿は皆さんにも見ていただきたいぐらい輝いています。

災害に負けず、前向きな『めぐみの里』の中島さんの野菜、お茶をよろしくお願いします。