因果応報

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 「白米」は白い。今まで疑問に思ったこともなかったことについて、最近考えさせられています。

 きっかけは、会員さんからの「お米に黒い斑点がついてますけど」というお電話。原因は、カメムシによる食害でした。

 これは、穂が実る途中、カメムシが柔らかい穂にセミのようにストロー状の口を差し込んで中のでん粉を食べるときにできる、お米の傷跡のようなものです。食べても問題ありませんが、見た目が悪くなるため敬遠されています。特に一般流通ではこのお米の混入基準が厳しく、1000粒に2粒以上入っているだけでお米の等級が下がります。そして、等級が下がるごとに60kgあたりの買い取り価格が600円~1,000円の暴落。そのため、一般栽培では穂が出る時期にカメムシを殺す為の「殺虫剤」を必ずといっていいほど使用します。

 また、それらの農薬は、以前話題に上がったネオニコチノイド農薬の中でもミツバチなどに影響の大きい「ダントツ」(クロチアニジン)などが多く使われており、岩手県山形県では養蜂家から損害賠償を求められる事態にも。福岡県でも種もみの段階から収穫までに14~18成分回数の農薬が使用されます。

 また、お米については「悪者」のカメムシですが、有機農業の世界では、メスのカメムシはナスやいちごなどに広く害を及ぼす「キイロアザミウマ」を食べる「益虫」としても知られています。農薬は、害虫だけを殺すわけではないので、影響は田んぼやその周り、そして水が流れる川や海にまで影響を及ぼします。今食べる農薬の摂取の問題だけでなく、水の汚染、流れた先の生態系への影響。あたり前の農薬を使って育てる真っ白なお米を食べることが、今の自分だけでなく孫やもっと先の世代の時の環境破壊に繋がっています。

 人間が自分たちの都合で自然をねじ曲げる行動をすると、一見すると何も起きていないようでも、思ってもみない所でしわ寄せがくるんだなと思いました。私にできることは、1人でも多くの方に使ってもらうこと、知ってもらうことです。少しでも世の中から農薬を減らせるよう頑張っていきます。