一般的な野菜取引と産直クラブ

 諫早市の生産者、鳥山さんに市場へ無農薬で育てた野菜を持って行った時の話を聞きました。

産直クラブと取引の始まる前に少しだけ作った人参とじゃがいもを市場に持っていったそうなのですが、その時、市場の方から「無農薬って求められてないんだよねぇ。」と言われながらも、出してみる事に。競(せり)にかけられ、一週間後に結果が出ると言われ、後日行ってみると、人参が5kgで50円と10kgで50円、じゃがいもが10kgで300円、合計400円でした。そこから手数料を1割取られます。受け取る金額は360円になりました。この結果に不満があってもすでに取引済で流通されてしまっているので何も言えません。f:id:fujiicyanneru:20151211205804j:plain

 こういった事は鳥山さんだけではありません、同じ日に大分県の『のーむの大地』の久井田さんからも市場の話を聞きました。「去年、市場に持っていくと無農薬のカボスが1kgで50円だった。去年は周りの人達は不作と聞いていたので価格も高いと思っていたんだけどね。」とおっしゃられていました。久井田さんは産直クラブ以外に関西の宅配に出荷されているそうですが、その余りそうな分は市場に持っていかれるそうです。高いと200円ぐらいの値段が付くこともありますが、安いと50円。こんなに大きな違いが生まれてしまいます。安い価格が続くと生産者は続け

る事ができなくなります。

 

 市場での取引は見た目重視で、無農薬というのは付加価値になりません。金額も不安定で、他の人が不作で市場に少ないと高く、他の人が豊作で市場に多くあると安いという構造。これが一般的で多くの農家さんがこのような取引の中で生活されています。これでは農薬を減らしたり、使わずに、草刈りをしたり、手で虫を取ったり、他の何倍も手をかけて育てようと思えるでしょうか?私だったら出来るだけ農薬に頼って、出来る限り機械化して効率よく1人でかなりの量をこなすことのできる農業をしてしまうと思います。

産直クラブの価格は生産者が育てるのにかかった手間がベースになります。市場(スーパーなど)が安い時は、産直クラブが高く思えるかもしれませんが、市場は少ないと産直クラブより高くなる事もあります。産直クラブは決まった価格で取引するので、生産者は安心して来年に向けて作付けをしていく事が出来ます。生産者が安心して栽培しようと思える仕組があたり前になり、お互いにフェアな関係で生産者と共に歩いていける会社でありたいと思っています。